暗号

やわらかく流れるような
空を見上げて呟くような
そんな思いで眺めれば
放浪楽人の歌う節になる

愛の言葉のはじまりに似た
その永劫に紡がれ続けるもの

音出さぬ
硬く小さな鍵盤にも
ひっそりと
お前は在るのか

小さき暗号の意味知らず
暗譜に似た指使いで触れる
そのささやかなる存在は
私の前では ら に在らず
いつまでも寂しき記号の ら

ら。